自分で民泊許可申請!
ゼロから分かる旅館業許可申請マニュアル

5.施設の要件調査<建築基準法>


住宅や事務所を民泊に使用する場合、建築基準法上の要件が変わってくるため、宿泊施設としての要件に適合していることも必要になります。

用途変更の確認申請

ここで一番問題となるのが用途変更の確認申請です。

建築基準法上、建物には用途が定められています。その用途を変更する場合(正確には変更により特殊建築物になる場合(後述))は、原則として確認申請という手続きをしなければなりません。

例えば、マンション(建築基準法では「共同住宅」という用途)を民泊施設(建築基準法では「ホテル又は旅館」という用途)に変更する場合は、確認申請が必要です。

物件選びは100㎡以内で!

ただし例外として、民泊に使用する部分の床面積の合計が100㎡以内であれば、確認申請が免除されます。

確認申請は、図面や構造計算が必要で建築士に依頼する必要があります。検査済証がなかったりすると、通常数ヶ月かかり、費用も数十万~数百万はかかる場合があります。その期間のビジネス機会損失、カラ家賃の支払いを考えると、小規模の民泊施設であれば、100㎡以内に抑えるのがセオリーです。

なお、民泊に使用する部分が100㎡以下であっても、例えばすでに別のフロアに100㎡以下の飲食店がある場合、その飲食店との合計で100㎡を超える場合は確認申請が必要になります。あくまで建物単位で100㎡を超えるかどうかが問題になるのでご注意下さい。

ここでややこしいのは戸建て住宅や事務所は確認申請の対象外だということです。

マンションや旅館、物販店などは、建築基準法上の「特殊建築物」として扱われますが、戸建て住宅や事務所は特殊建築物ではありません。

用途変更をする場合、確認申請が必要なのは、変更により「特殊建築物」になる場合だけです。(例:特殊建築物→特殊建築物 または 非特殊建築物→特殊建築物)

例えば、すでに80㎡の飲食店と70㎡の物販店があるビルで80㎡の民泊をやる場合には確認申請は不要です。変更により100㎡超の特殊建築物が出来ないからです。

しかし、80㎡の飲食店と70㎡の事務所があるビルで80㎡の民泊をやる場合には、事務所は特殊建築物ではないので、建物としては民泊施設ができることで、飲食店と合計して100㎡超の特殊建築物が出来上がるため確認申請が必要になるのです。

非常にややこしいため、特に商業ビルの一部で民泊をやる場合は、専門家にご相談することをお勧めします。

なお、確認申請が不要であっても、民泊施設が建築基準法に適合している必要がありますから注意して下さい。マンションと宿泊施設では、要件がかなり異なります。マンションのまま宿泊施設として営業してしまうと、違法建築として刑事罰・行政罰の対象になります。


CHECK

東京都建築安全条例に注意!

東京都の場合、東京都建築安全条例における以下の2つの要件に適合しているかも注意して下さい。

①窓先空地

道路に面していない客室がある場合、窓の外側に一定幅以上の避難用スペースを設け、そこから道路まで1.5m幅以上(床面積200㎡超の場合は2m幅以上)の道路でつなげなければなりません。災害時の避難手段確保のためです。これを窓先空地といいます。

②接道義務

民泊施設には、一定の長さ以上道路に接していなければなりません。長さは床面積合計により異なりますが、民泊部分の床面積が500㎡以下の場合は4m以上です。つまり奥まった場所にあり、狭い通路で道路に出るような建物では営業はできません。

非特殊建築物(戸建て住宅・事務所など)の場合は接道義務は2mしかありませんので、これらを民泊にコンバージョンする場合は要注意です。