法制審議会は、民法の相続法改正試案で、配偶者の法定相続分の引き上げが検討されています。
現行法では、配偶者の法定相続分は、婚姻期間の長短に関係なく一律で「1/2」となっていますが、
これを婚姻後に一定期間が経過した場合に配偶者の法定相続分を「2/3」に引き上げる案になっています。
新婚の場合と、婚姻後30年に渡って相手配偶者を支えて財産形成に寄与してきた場合で、
まったく同一の法定相続分というのは、たしかに公平ではないかもしれません。
現行法では、たとえ新婚であっても結婚すれば自動的に財産の1/2が手に入ります。
仮に他の人に財産を遺すという遺言があったとしても、遺留分として最低でも1/4はもらえます。
近年、独身高齢者の財産目当ての結婚詐欺が問題となっており、
「後妻業」という小説まで映画化されて話題になりました。
民法の法定相続分において配偶者が最も優遇されているのは、
妻(夫)の尽力が財産形成に大きく寄与するものだという考えによります。
であれば、もちろん長期の場合の引き上げだけでなく、逆に短期の引き下げも検討されるべきかもしれません。
例えば、新婚の場合は、両親の法定相続分を増やすなどすれば、「後妻業」などの詐欺が減ると思います。
試案では、相続人以外でも、介護などで献身的な貢献をした人は、相続時に金銭を請求できる案も盛り込まれました。
例えば息子のお嫁さんなどが、義理のお父さんの日常の世話をするというケースが多いと思いますが、
現行法ではお嫁さんには(義理のお父さんの)相続権はありません。
相続というのは簡単に言えば「財産」の移転、つまりお金や財産の話です。
単なる血縁関係だけでなく、貢献度に応じて額を決めるというのは公平で良い流れではないかだと思います。
改正法案は平成29年中に国会提出を目指すそうです。