自分で風俗営業許可申請!!
ゼロから分かる申請書作成マニュアル

5.飲食店の営業許可を取ろう

飲食店の営業許可とは

スナックやクラブなどの1号風俗店の場合、ほとんどがお店で飲食物を提供するはずですので、風営法の許可の他に、保健所で食品衛生法の飲食店営業許可を取る必要があります。

順番としては、まず保健所の許可を取り、その許可証を添付して風営法の申請をすることになります。

ここでいう「飲食店」とは、調理設備を使って食品を調理し、店内で客に飲食させるお店全般をいいます。レストランやカフェはもちろん、お酒を出す店も飲食店ですので、許可が必要です。

これに対して、単に食品を作って売るだけの場合は不要です。店内でイートインをさせずに、テイクアウトのみのお店は許可はいりません。(ただし営業形態によっては食品の製造業・販売業などの許可が必要になる場合があります。)

1)飲食店営業許可の目的

風俗営業許可が、いかがわしい行為の禁止、健全な近隣住居環境の維持、青少年の保護などを目的としているのに対し、飲食店営業許可は主に衛生面の管理がきちんと出来るかどうかをチェックすることが目的としています。

したがって、必然的に提出する必要書類・図面等が異なります。例えば、風営法ではお店の面積要件が定められているので、それを充たしていることを証明するために、詳細な店舗図面(平面図・求積図・求積表)が求められるのに対し、飲食店営業許可の場合は、特に面積の制限はないので、そこまで細かい図面は不要です。

逆に、給湯、流し、換気扇、冷蔵庫、戸棚、床や壁の材質など、カビや害虫対策など衛生面の資料を細かく作る必要があります。といっても、それほど厳しい要件ではないので、普通に飲食店を営業するにあたって当然なければならない必要最低限のものですから、ご自身でも十分作成は可能です。


CHECK

飲食店営業許可の面積要件

食品衛生法の飲食店営業許可にはお店の面積に制限はありませんが、建築基準法で面積要件が定められている場合があるので注意が必要です。無視をすれば違法建築物となってしまいます。以下のように住宅地で飲食店を開く場合はご注意下さい。

第一種低層住居専用地域で店舗兼住居とする場合

店舗部分が建物全体のの延べ床面積の2分の1未満で、かつ店舗部分の面積が50㎡以下であること(店舗面積は、キッチンやトイレも含めた全体の面積)

第二種低層住居専用地域の場合

店舗部分は50㎡以下であること(ただし喫茶店は150㎡以下)。

お店が非衛生的だと、お客さんが食中毒などにかかる恐れがあり安心して飲食できません。
単なる書類上の審査ではなく、保健所の担当者が実際に店舗に来て検査をします。
基準を理解してしっかり準備しなければなりません。

立入り検査は内装工事後に行われます。万が一基準を充たしていないと判断されると許可は下りず、内装のやり直しになってしまいます。


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許可を取らないでお店を開くとどうなっちゃうの?

許可を取らないで営業してしまうと、いわゆる無許可営業となり、刑事罰や行政罰の対象になります。

例えば、保健所の飲食店営業許可を取らずに営業をしてしまうと、食品衛生法違反として2年の懲役又は200万円以下の罰金という厳しい罰が待っています。また営業停止などの行政処分の可能性もあり、ビジネスとしては大きな痛手になるので、絶対に避けなければなりません。

特に注意しなければならないのは、お店の営業権を譲り受けて、そのまま引き継ぐ場合です。
この場合は、たとえ内装を一切いじらず(居抜き)、従業員もまったく変わらなかったとしても、オーナーが代われば許可を取り直さなければなりません。

食品衛生法 第五十一条 都道府県は、飲食店営業(中略)であつて、政令で定めるものの施設につき、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。
第五十二条 前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない
第七十二条 (略)第五十二条第一項の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

2)申請書類を作ろう

次に飲食店営業許可を取るための必要書類をご紹介します。ただし自治体によって異なる場合がありますので、必ず自治体のホームページや手引をご確認下さい。

1.営業許可申請書

営業者の情報、店舗名、店舗住所、営業時間などお店の基本情報を記載します。

2.営業設備の大要

お店の設備に関する情報を記載します。建物の構造や面積、調理設備や内装の仕様などを細かく書かなければならず、少々ハードルが高いです。

新規に内装工事を行う場合には、内装業者に聞けばある程度分かりますが、居抜きの場合などは前店舗の許可書を見せてもらったり、大家さんから建築図面を取り寄せる必要があります。

協力的な業者さんや大家さんだといいのですが、そうでない場合はここで行き詰まることもあるので、確実に許可を取るなら専門家に依頼すると良いでしょう。

また、設備の配置図やお店の周辺の地図も作成する必要があります。風営法ほど細かく作成する必要はないので、飲食店営業許可だけなら手書きでも構いませんが、風営法許可も取る予定なら、CADなど専用ソフトで作成する必要があると思います(もちろん手書きがダメわけではありませんが・・・)。

細かい寸法よりも換気や給湯設備、保管状況や手洗いなどの設備の衛生面が重視されるので、必ず事前に担当者に確認して下さい。内装工事後に問題が発生すると、工事をやり直さなければならなくなるので、開店時期や費用面で大きなダメージになる恐れがあります。

よく、飲食店営業許可の図面をご自身で作成され、それをそのまま風俗営業許可の図面として申請をしたら、警察に受け付けてもらえなかったと相談に来られる方がいらっしゃいます。前述の通り、飲食店営業許可と風俗営業許可では根拠となる法律の趣旨が違いますので、作成する図面の目的が異なり、そのまま使うことはできませんのでご注意下さい。

3.食品衛生責任者設置届

飲食店には、必ず食品衛生責任者を置かなければなりません。

経営者や従業員の中に栄養士・調理師などの資格を持っている人がいればその方が食品衛生責任者になれます。該当する方がいない場合は、食品衛生協会が実施する「養成講習会」を受講することで資格を取れます。(講習の修了証が資格証の代わりになります)

この講習会は予約制ですが、近い日程はすぐに埋まってしまい(特に都心部開催)、予約できるのが数週間先ということもありえますので、開業を急ぐ場合はご注意下さい。

自治体によっては、「後日必ず講習を受けます」という誓約書を提出することで、講習を受けていなくても申請書を受理してもらえる場合があります。もちろん実際に受講したことを後(3ヶ月以内の場合が多い)で報告(修了証の写しを郵送またはFAX)することが必要です。

4.許可申請手数料

自治体により金額が変わりますが、おそよ15,000~20,000円です。

5.水質検査成績書

貯水槽や井戸水を利用する場合に必要になります。

直結であれば不要ですが、ビルによっては貯水槽をしている場合があります。通常はビルのオーナーさんの方で検査を済ませているはずなので、事情を伝えればすぐにもらえると思います。

6.登記事項証明書(法人の場合のみ)

いわゆる会社謄本です。会社所在地を管轄する法務局で取得することが出来ます。

3)保健所に申請。そして立入検査

無事に飲食店営業許可の申請書が受理されたら、立入検査の日程を予約します。保健所の管轄地域の担当者が1名で対応していることが多いため、混雑していると思ったよりも先の日程になってしまいますので、オープンを急ぐ場合は、早めに申請するようにしましょう。

検査時には、設備の設置が全て完了していることが必要で、設置の漏れがあった場合、再検査となり予約の取り直しになります。(軽微なものであれば、確かに設置したことを証明する写真を後日提出すれば済む場合もありますが・・・)

立入検査から営業許可証の交付までは約1週間~10日ほどかかります。営業許可証がないと風営法の許可申請はできませんので、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。

飲食店営業許可は、風営法許可に比べて、申請書類の作成難易度もそれほど高くなく、立入検査も衛生設備などを完備していればそこまで厳しくないので、ご自身で申請をすることも十分可能だと思います。