自分で風俗営業許可申請!!
ゼロから分かる申請書作成マニュアル

2.必要な手続を調べよう


飲み屋や遊技場をオープンしようと思ったら、まず最初にそのお店の営業形態が風俗営業法の適用を受けるのか、そしてどのような手続(許可?届出?)が必要なのかを確認する必要があります。

基本的に接待行為のない飲み屋さん(居酒屋やバーなど)であれば、風営法の許可・届出は不要です(保健所の飲食店営業許可は必要です)。

例外的に、深夜営業(午前0:00~6:00)をする場合や、お客にカラオケ大会や参加型スポーツ・ショーなどを提供する場合も(これらお店が主体となってお客を遊ばせる行為を「遊興」といいます)、接待行為がなくても届出や許可が必要になります。

許可が不要なのに許可申請をしても受理はされずに申請書作成の労力を無駄になりますし、許可が必要なのに、不要だと勘違いして、無許可で営業してしまった場合、仮に知らなかったとしても(故意の無許可営業は論外です)、刑事罰(懲役や罰金)の対象になりますので、十分ご注意下さい。

ではどんなお店が風俗営業法の適用店(以下、風営店)となるのでしょうか

I 風俗営業

風俗営業とは、風俗営業法に定められた接待飲食営業(1~3号)や遊技場営業(4・5号)をいいます。

接待飲食営業とは、スナック、クラブ、キャバクラ、ホストクラブなど、従業員がお客の隣に座ってお酌をするなどの接待行為を行う飲み屋さんをいいます。

遊技場営業とは、マージャン店やパチンコ屋、ゲームセンターなどをいいます。

第1号営業(社交飲食店)

接待行為を行う飲食店がこれにあたります。

CHECK

接待の判断基準

接待とは、風営法において「歓楽的に雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されていますが、要するに、特定のお客と、飲食の提供に必要な会話以上の会話やサービスをすることです。

接待者は女性に限られず、男性も含みますし、ホステス(ホスト)のみならず、店長やオーナーがお客と必要以上の会話を行えば接待行為になる可能性があるのでご注意下さい。

「横に座ったらアウトで、カウンター越しならセーフ」など様々な情報がネット上などで溢れていますが、実は線引きが難しいので、迷ったらネット情報などを鵜呑みにせず、必ず行政書士や警察に相談しましょう。

第2号営業(低照度飲食店)

営業所内の照度が10ルクス以下の飲食店がこれにあたります。接待の有無、お酒の提供の有無は問いませんのでご注意下さい。

ちなみに1号~5号はすべて最低5ルクス超でなければなりません。真っ暗に近いお店はNGということです。

10ルクスといってもピンと来ないかもしれませんが、一般に「上映前の映画館の明るさ」とか「ロウソクの20cmそば」などと言われています。お店としてはかなり薄暗いです。薄暗いコンセプトのお店にしようと思ったら、必ず照度計で明るさを計測して、10ルクス以上あるかどうかを確認して下さい。

第3号営業(区画席飲食店)

お店を5㎡以下に区画して営業する飲食店がこれにあたります。小部屋でなくても見通しが悪い仕切りがある場合も同様です。いわゆるボックス席で、接待がなくても許可が必要です。こうした区画(小部屋)では、みだらな行為が行われやすいことが理由です。


第4号営業(マージャン店・パチンコ店・その他遊技場)

客に射幸心をそそるおそれのある遊技場が対象です。


第5号営業(ゲームセンター等)

スロットマシンやテレビゲームで、射幸心をそそるおそれのある遊技機器を設置する場合が対象になります。


※注意 以前は1号~8号に分類されていましたが、平成28年の法改正で1号~5号に統合されました。インターネット上の情報や書籍の中には古い法令に基づく記述もまだ多く残っているため、ご注意下さい。


II 特定遊興飲食店営業

平成28年に新設された営業形態です。詳しくは別ページで解説いたしますが、

①遊興(お店が主体となって客を遊ばせる/例:カラオケ大会や参加型ダンスショー)

②深夜営業(午前0:00~6:00)

③酒を提供


の3つをすべて充たすお店が対象になります。


III 性風俗関連特殊営業

いわゆる性的サービスを行うお店です。細かく分類されますが、ここでは省略いたします。

CHECK

性風俗店も許可がいる?

「風俗」という言葉から、いわゆる性的サービスを行う性風俗店を思い浮かべる方がいるかもしれません。もちろん性風俗店も風営法の適用があるのですが、「性風俗関連特殊営業」といって届出制の業種になり、風営法許可の業種とは異なります。

「許可」と「届出」では、「許可」のほうが当然ハードルが高いです。「届出」は単に書類が揃っていて受理されれば営業できるのに対し、「許可」は書類やお店の審査を受け、要件を充たしていなければ不許可となり営業はできません。

イメージ的に「いかがわしい」はずの性風俗店が緩い届出制で、単にお酒を一緒に飲むだけのスナックがより厳しい許可制なのか、疑問を持つ方も多いでしょう。

売春行為が法律で禁止されている以上、グレーゾーンである性風俗店を、国として正式に認めるわけにはいかない。でも犯罪抑止効果という面で全面禁止するわけにはいかないというのが本音です。

よって妥協策として、許可を与えられないが、届出をさせてお店の管理だけはしようというのが、こうした制度になっている理由です。

建前と理屈だけでは国家は成り立たないので、苦肉の策というわけです。

IV 深夜における酒類提供飲食店営業

深夜営業(午前0:00~6:00)をする、接待がない居酒屋やバーなどがこれにあたります。別ページにて詳しくご説明します。


V 接客業務受託営業

いわゆるコンパニオンや芸者を派遣する営業です。ここでは省略いたします。