犯罪者を処罰するには検察官が裁判所に起訴状を提出しなければなりません。
犯罪の中には、被害者等から「処罰して欲しい」という告訴がなければ
起訴状提出ができないものと、なくてもできるものがあります。
前者を「親告罪」といいます。
例えば傷害罪などは被害者からの告訴がなくても検察官の判断で公訴提起ができます。
対して強制わいせつや強姦罪などの一部犯罪は、被害者からの告訴がなければ検察は動けません。
法制審議会は、性犯罪の厳罰化に向けて刑法を改正する答申案をまとめ、その中で、
強制わいせつや強姦罪の非親告罪化(被害者の告訴がなくても罪に問える)が盛り込まれました。
そもそも親告罪は、これは裁判になると行為の中身などがすべて世間にオープンになってしまうので、
性犯罪被害者の「二次被害」を防ぐために定められた規定です。
もし非親告罪化となれば、被害者の意思に反して裁判を起こせることになってしまいます。
裁判では思い出したくない犯罪時の状況を「詳細に」「繰り返し」「世間一般に」公表されます。
検察側は、被害者には処罰の必要性を十分説明し、
望んでいなければ、勝手に起訴しないと言っているそうですが、
そんな性善説に立った曖昧な運用がまともに機能するとは思えません。
親告罪には、処罰するかを被害者の判断に委ねるというメリットがある反面、
犯罪者の「逃げ得」・被害者の「泣き寝入り」を許すおそれがあるという大きなデメリットがあります。
冤罪や示談金目当てのでっち上げの問題もあり、非常に難しい問題ですが、
今回は国が「犯罪者の処罰優先」という一つの判断をしたということです。
他にも、法定刑の引き上げや加害・被害者の性別の区別を廃止、
自分の子供への性犯罪の罰則新設などが盛り込まれています。