法制審議会の民法部会で、相続開始後の自宅の居住権に関する民法改正の中間試案がまとまったそうです。
現在の規定だと、例えば二人暮らしの老夫婦の旦那さんが亡くなって相続が発生すると、
(遺言書などがない限り)住んでいた家も遺産分割の対象になります。
お子さんなど相続人が別にいる場合は、遺産分割協議中は相続人全員の共有状態になります。
優しいお子さんで「お母さんはそのまま住んでていいよ」と言ってくれればいいのですが、
お母さんには完全な所有権がないので、出て行けと言われれば拒むことは出来ず、路頭に迷うことになります。
こうした事態を防ぐために、
遺産分割協議中も配偶者なら「無償」で自宅に住み続けられるようにする「短期居住権」や、
分割協議後に所有者が変わっても、配偶者がそのまま安価で住める「長期居住権」を
新設しようというのが主な内容です。
また、配偶者の法定相続分(現行2分の1)の引き上げも検討されています。
相続というのは、簡単に言えば財産の受け継ぎです。
一般人が何の努力もなしに突然大金持ちになれる数少ないチャンスである一方、
何の落ち度もないのに、配偶者が亡くなったというだけで、
それまでの生活が奪われて路頭に迷う可能性がある現制度というのは、やはりよろしくありません。
現行法は、基本的に性善説に立っています。世の中の流れがそれでは通用しなくなって来ているということなのでしょう。