酒の過剰な安売りを規制する酒税法の改正案が成立しました。
大型量販店の過激な安売りから街の酒屋さんを守るというのが狙いのようですが、
企業努力による価格競争という資本主義の原則に逆行し、
消費者の利益を損なう恐れがあると懸念されています。
改正法の内容は、財務相が酒の販売価格の「公正な取引の基準」を新たに定め、
従わない業者は、名前が公表されたり、酒類販売免許の取消しまでできるようになります。
そもそもライバル店を廃業させる目的で行う採算度外視の安売りは、
独占禁止法の「不当廉売」で規制可能のはずです。
わざわざ酒類に絞って別途で規制をかける意図は何なのでしょうか。
中には選挙絡みだとの見方もあるようです。
全国の酒販組合や商店街は、有力な票田になっており、
選挙に向けて支持を取り付けておきたいという思惑で、
大した議論もなしに慌てて法案成立させたということです。
また、規制の強化は官僚の利益にもなります。
規制は厳しくすればするほど、役人は「今回は大目に見ますよ」と恩を売ることができ、
見返りに天下りという対価を得る。
そういうことが長年行われて問題となり、昨今の規制緩和の流れになっているはずなのですが、
まったく時代の流れに逆行する「昭和的」な法改正がひっそりと行われたようです。