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(14)要件①経営管理責任者

それでは、前回説明した「ヒトの要件」の1つ目、経営業務の管理責任者について解説いたします。

 

Q.経営業務の管理責任者(経管)って何?

 

経営業務の管理責任者((長ったらしいので以後「経管(けいかん)」と略します。)とは、

その営業所において、営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、

建設業の経営業務について総合的に管理・執行した経験のある者、と手引などでは定義されています。

 

ちょっと分かりにくい表現ですね。

「営業取引上対外的に責任を有する地位」とは要するに、

会社の役員(取締役)や個人事業主の方のことをイメージしていただければ良いでしょう。

 

要するに、許可を取るなら、数字に強い経営全般の責任者になる人を決めて下さいというのが趣旨です。

どんなに優秀でも、経営や数字にはサッパリの職人さんだけではダメですよということです。

 


 

Q.経管には誰でもなれるの?

 

残念ながら、誰でもなれるわけではありません。

大きな工事を請け負う会社の経営を任されるわけですから、

それなりに厳しい条件が課されるのは仕方ありませんね。

 

 

条件その1. 「常勤」の「取締役」であること

 

役員といっても、監査役や会計参与などはダメで、「取締役」になる人でなければなりません。

チェックする役目の人ではなく、あくまで現実に業務を執行する取締役ということです。

 

さらに、取締役として「常勤」、つまり毎日出勤して業務にあたる人である必要があります。

常勤しなければならないということは、他の会社の常勤取締役にはなれないということですから、

その会社のために専念できる人でないとこの責任者には就けないことになります。

 

ちなみに、有限会社の取締役でももちろん大丈夫ですが、

合資会社の有限責任社員はなれないのでご注意下さい。

合資会社の場合は、別に無限責任社員がいるので、その者がなれという趣旨です。

(合同会社の有限責任社員はOKですので混同しないように。ややこしいですね。)

 

では、「常勤する」ことはどうやって証明するのでしょうか。

「間違いなく毎日出勤します」という誓約書を出すわけではなく、保険証や住民票(写し)などで

たしかに通える範囲に住んでいることを証明する資料を提出します。

 

都道府県によっては、たとえ遠くても、定期券を見せればOKという場合もあります。

 

またどうしても兼任している他の会社の役員を辞められない場合は、

会社から非常勤証明書を出してもらえば認められる場合があります。

このあたりはケースバイケースなので、イレギュラーな事案は専門家に任せたほうが安全です。

 

なお、個人事業の場合は、その個人または支配人について証明します。

 

 

条件その2. 経営業務の管理責任者としての経験があること

 

元請からしたら、大きな工事を下請けに出すわけですから、

その会社(個人事業)の責任者が未経験の素人では安心して任せられません。

 

そこで経営者としての豊富な経験があることが要求され、それを証明するのが第2の条件です。

経験の種類によって必要な年数などが異なりますので、以下詳しく解説いたします。

 

 

①許可を受けようとする業種と「同じ」業種の建設業での経験

 

これから取ろうとしている許可と同じ業種の会社の役員経験がある場合は、

「5年間」その会社で役員の経験があることを証明します。

 

例えば、これから電気工事の許可を受けようとする場合、過去に電気工事の会社で5年間の役員の経験があれば、

その人は経管になることができます。

 

会社の役員でなくても、個人事業主や一定の権限を与えられた支店長や営業所長等でも大丈夫です。

また、この役員等の経験は、経管になる役員ほど条件が厳しくはなく、常勤でない社外取締役等でも可能です。

 

さて、問題はその証明方法です。

前にいた会社が許可業者であれば、

許可番号と会社の謄本(確かに一定期間役員だったことを証明する公的文書 )、

そして過去3年分の工事施工金額(たしかに工事をしてた証拠)があれば証明できるので比較的簡単です。

 

しかし許可を受けていない業者(たとえば個人事業主)の場合、

本当にその業種を行っていたのか証明するのが大変です。

この場合、過去5年分の請負契約書や注文書などを提出することになりますが、

とても膨大な量になるので難易度が上がります。

 

また5年以上も前の話ですから紛失していたり、すでにその会社が存在しないということもあり得ます。

この証明方法もケースバイケースです。無理だと諦める前に行政書士にご相談下さい。

 

 

②許可を受ける業種とは「別の」業種の建設業での経験

 

この場合は、①よりも少し厳しく、「7年間」の役員経験が必要になります。

例えば、電気工事の許可を受けようとしているが、大工工事の会社の役員経験しかないような場合です。

この場合でも、7年の経験があれば許可は受けられます。

業種は違えど、建設業の経営者としての経験があるのだから、認めてあげましょうという趣旨です。

 

この条件を使う場合は、どの業種の許可でもOKのオールマイティなので、

将来使いそうな許可をまとめて取ってしまうことを検討しても良いでしょう。

申請は、いくつの許可でも、国に納める手数料(9万円)は一緒だからです。

(2度に分けるともう一度手数料がかかるのでもったいない)

 

 

③経営管理者に準ずる地位での経験

 

①②の経営経験がない場合でも、まだチャンスはあります。

 

準ずる地位というのは、

・役員に次ぐ地位として、会社から経営業務を「任された」経験が「5年」以上ある場合

または

・営業部長など、経営を「補佐」した経験が「7年」以上ある場合

をいいます。

 

この場合の経験は、①と同様、許可を取る業種と同じ業種でなければなりません。

異なる業種経験ではダメです。

 

ただ、この③は証明が非常に難しいので、自分で資料を揃えるのはかなり困難です。

実際には、経営権限が与えられたことを証明する取締役会議事録や組織図、

実際に決済権限があったことを証明する稟議書・決裁書など膨大な資料が必要だからです。

また資料が揃っていても、審査で認められる保証はありません。

①②に当てはまらず③を検討する場合は、行政書士にご相談下さい。

 

なお、個人事業者の場合は、例えば事業主様が亡くなって、

手伝っていた奥様や息子さんが跡を継がれるケースでこの条件が使える可能性があります。

事業主だったお父様がなくなって、許可が取れなくなると実質的に廃業に追い込まれる恐れがあることから、

救済手段として認められているのです。

 

以上、経管の概略でした。細かい要件などは都道府県で異なりますので、

実際に申請する際にはその都道府県が発行する手引などを必ず参照下さい。